江戸彼岸(エドヒガン)/ Cerasus spachiana Lavallee ex E.Otto var. spachiana
エドヒガンザクラは、各地に名木が多い事が有名です。日本三大桜で天然記念物に指定されている樹齢2000年日本最古の桜と言われている江戸彼岸”山高神代桜(ヤマタカジンダイザクラ)”に会ってきました。今日はその記録にしたいと思います。
エドヒガンザクラについては以前ご紹介させていただいています。品種については下記をご参照ください。
東京では2018年3月17日にソメイヨシノが1953年以来3番目に早く開花し、もう場所によってはお花が少し見られはらはら花びらを散らしているタイミングの4月1日。
東京を朝4:00に出発。まだ日の出前の暗い中、なんと2018年最後のブルームーンに導かれ現地に向かいました。車窓からは美しい月がまるで「こっちこっち」と言っているかのように、車の前方に光っていました。(運転だったので写真なし^^;)
到着前に日の出。到着し実相寺の山門に向かうまでの景色は、南アルプスを背景に朝のほんのり明るくなり出した光を浴びたたくさんの水仙と桜!
実相寺の境内には「全国名木の子桜」が植えられています。桜を植樹する活動の中で、数々の”人々と桜”の想いに出会ってきましたが、ここにも数々のドラマがありました。実相寺の桜一本一本にも物語がありますが一部を。
門をくぐると迎えてくれるのは、美しい身延山久遠寺(山梨県身延町)のしだれ桜の子桜。昭和52年に植えられたそうなので41年目。
1977年、実相寺の住職さんが久遠寺で修行したのを機に身延から運んだ子桜を植えられたとの事。
風に揺れる優しい色合いの美しい花々の下、しばし現実を忘れていました。
枝垂桜の後ろには”宇宙桜”!
2008年、地元武川小学校の児童により採取された神代桜の118粒のタネがスペースシャトルで運ばれて、国際宇宙ステーションで約8カ月無重力の中で過ごした後、宇宙飛行士の若田光一さんが地球に持ち帰り、そのうち発芽した1本が実相寺に植えられたそう。今から約10年前に生まれた桜。この日の桜の樹高は5メートルをゆうに超えていました。
土が踏み固められて桜が傷むのを防ぐため、離れたところから鑑賞するしかないのですが・・・ゾクッとした事がありました。
桜の花びらは通常5枚。この木の桜の一部は花びらが6枚あるそう!
同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の一人が宇宙から帰った後、遺伝子情報が変わっていた話や、映画「インターステラー」で描かれた三次元における可能性等、いろいろな情報が頭に浮かび「6枚の花びら」に現実感を抱いてしまった。未来に起こるかもしれない生物学的な変化の可能性。
すぐ近くにいる最古の桜は長い年月の間そこにいて、ただただ自然環境や時代と状況の変化に寄り添っていたのだと。
昨年2017年3月17日には東日本大震災の被災地、そして東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2015年9月に解除された福島県楢葉町で、19日には岩手県洋野町に、この”宇宙桜”が植樹されました。
桜を植えるということ
桜を植える時。人それぞれ、様々な想いを込めて植樹します。
被災地の皆さんそれぞれに”桜に込める想い”があります。未来に、子供たちに寄り添いながら、多くの方たちの”希望の桜”になるよう元気に美しく成長してくれたらいいな。
美しくドラマのある桜の数々に圧倒されながら、2000年もの長い年月を生きているという桜に向かうと、各地の名桜の子桜を集めることを思い描かれて植えられたという桜の中、神代桜の左側、そこには平成12年(西暦2000年)に植えられた、若い(約20年ですね)三春滝桜の子桜が見事に開花していました。
「寒い冬を越した桜は美しく咲く」
2017年の冬の寒さ&急に暖かくなった2018年春。この約20歳の若い銘木の子桜と2000年の年月を生きる最古の桜が隣りあわせで美しく咲く光景に、圧倒されてしまいました。
近くには寄れない神々しい神代桜。その横には若い滝桜の子桜。近くに寄れた滝桜の子桜の写真を。
枝垂れる前に横に枝を伸ばす若いエネルギー。
山高神代桜。2003年に樹勢回復事業を行ったそうです。
命を守ること。
守られた桜が、こんなにも新しい枝を伸ばし神々しい花を咲かせること。
2000年という途方もない長い時間・その長い年月を地球上で人々に愛されながら生きてきたこと。
桜の力に圧倒されてしまいました。
朝4:00に東京を出て午前10:00にはまた東京で次の予定に。早朝に出会った桜がくれた物語の記録。長文お付き合いいただきありがとうございました。